こんにちは!オーク市原の榎本サユリーヌです。
最近、知識がないままアロマテラピーを実践する人が増加しています。
YouTubeやSNSで検索して、見よう見まねで精油を使っているあなた!
もしかしたら、その使い方、危険かもしれません。
次の項目に当てはまることが1つでもある人は、ぜひこの記事を読んでみてください。
アロマテラピー超基本チェックリスト
まずはチェックリストをご覧ください。あなたはいくつ当てはまりますか?
- 精油は原液を肌に塗っても安全
- 精油は薄めれば肌に塗っても安全
- 精油を選ぶとき、香りの好みより「効能を重視」している
- 精油は油であり、飲める精油もある
- 精油は混ぜない(ブレンドしない)方がいい
- 光毒性について何も知らない
精油は油ではありません!!!
ここからは、チェックリストに当てはまる項目があった方向けに書きます。
そうでない方は、アロマテラピーの基礎知識が身についています。さらに知識を深めたい方はAEAJ認定アロマテラピー検定やアロマテラピーアドバイザーのお勉強をされることをおススメします。
油とは何か?
精油、エッセンシャルオイル、アロマオイル・・・・・・
「油」や「オイル」とあるのだから、油だと思われるのは当然です。
しかし、精油は油ではありません。
精油と油の違いを理解するには、まず、「油とは何か?」を知る必要があります。
油(あぶら)とは
油は動植物由来のものと鉱物系のものに分けられます。
動植物由来:オリーブオイル、菜種油、牛脂など
鉱物系:ガソリン、灯油など
油脂(ゆし)とは
動植物由来の「油」は「油脂」ともいいます。
常温で液体のものが「油」、常温で固体のものが「脂」です。
油:オリーブオイル、コーン油、菜種油など
脂:肉の脂身、ラードなど
精油は植物だから、植物性の油脂と勘違いされやすいのですが、油脂ではありません。
なぜなら、油脂は「グリセリンと脂肪酸で構成された化合物」だからです。
精油とは何か?

精油には、油脂の構成成分であるグリセリンも脂肪酸も含まれていません。
精油成分の正体は、芳香分子と呼ばれる小さな粒の集まり。
植物の花、葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した揮発性の芳香分子です。
精油は植物の二次代謝物
植物は光合成により精油を産生します。
植物は空気中から吸収する二酸化炭素と、根から吸収する水を結び付け、糖、たんぱく質など毎日の栄養に欠かせないもの(一次代謝物)と、もしもの時に使うもの(二次代謝物)を作り出します。
精油は植物の二次代謝物です。
精油は植物の様々な部分(花、葉、果皮、樹皮など)にある腺細胞という細胞で産生されます。
作られた精油は腺細胞の内部や油胞などに貯蔵されます。
オレンジなどミカン科の植物は、果皮に油胞があるため、手で皮をむくと指にその香りが付きます。
公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)による精油の定義
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質である。各植物によって特有の香りと機能を持ち、アロマテラピーの基本となるものである。
精油の特徴
- 芳香性:植物ごとに多種多様な芳香分子が含まれています
- 揮発性:精油の分子が小さく、香り成分が揮発しやすい性質があります
- 親油性:水に溶けにくく、アルコールや油脂に溶けやすい性質があります
- 引火性:火気のそばだと引火する性質があります
ラベンダー精油の成分
精油成分の正体は、芳香分子と呼ばれる小さな粒の集まりです。
分子が揮発して、鼻の奥(鼻腔にある嗅細胞)に届くと香りを感じることができます。
精油には多様な芳香分子が含まれており、それらが複合的に作用することでマイルドな薬理作用になります。
例えばラベンダー精油には次のような芳香分子が含まれています。

ラベンダー精油の主な芳香分子
数値は「生活の木公式サイト」より引用します。
テルペン系炭化水素
cis-β-オシメン 3.10%
trans-β-オシメン 2.90%
テルペン系アルコール
リナロール 31.90%
テルピネン-4-オール 2.90%
α-テルピネオール 0.9%
ラバンデュロール 0.55%
エステル
酢酸リナリル 36.90%
酢酸ラバンデュリル 2.10%
オキシド
1,8シネオール+β-フェランドレン 1.00%
(オキシド+テルペン系炭化水素)
ケトン
3-オクタノン 1.10%
カンファー 0.40%
精油の作用
ラベンダーといえばリラックスできる香りというイメージがあります。
ラベンダー精油の主成分であるリナロール(31.90%)と酢酸リナリル(36.90%)には、鎮静作用や緊張を緩和する作用があります。
だから「ラベンダー精油にはリラックス作用がある」と考えることができます。
ラベンダー精油に含まれるケトンには、神経毒性や流産惹起作用などがあります。
たまに、「ラベンダー精油は流産する恐れがあるから妊娠中は使わない方がいい」といった情報をネットや雑誌で見かけることがあります。
それは、ケトンが含まれているからだと推察できますが、ラベンダー精油の含有率は1.5%。
さらに、精油は原液を肌に塗るのではなく、1%以下の濃度に薄めて使用するので、さらに微量です。
ですから、「ラベンダー精油は流産する恐れがある」というのは、かなりオーバーな表現です。妊娠中でも、正しい使用法で使えば問題ありません。
飲める精油なんてありません!!!
SNSなどで精油を飲んでいらっしゃる方を見ることがあります。
世の中には色々な考え方があり、自己責任で精油を飲むのは自由です。
しかし、SNSなどを通して「飲める精油」を宣伝し販売する行為は、絶対に反対します。
精油の知識のない人ほど「飲める精油」に飛びつく傾向があります。
サプリメント感覚なのでしょう。
精油成分は多種多様。
水で薄めれば大丈夫と思われるかもしれませんが、精油は水に溶けにくい性質のため、危険です。
2~3滴ならちょっとだから問題ないと思うのかもしれません。
しかし、精油は芳香分子が高濃度に詰まっています。
1滴の精油を得るために必要な原料植物は、ローズならお花50個~100個。
つまり、精油1滴は大量!その威力を軽んじるのはとても危険です。
前回、精油の原液を肌に塗ることの危険について書きました。
「精油を飲む=病気でもないのに薬を飲む行為」と考えてください。
毒と薬は表裏一体。
飲む量やタイミングを間違えると毒になります。
それでも飲む方へ。
始めは効果があるかもしれませんが、薬はやがて毒となる覚悟をしておいてください。

昔の人は精油を飲んでいたって本当!?
アロマテラピーの歴史を勉強すると、中世ヨーロッパでは精油を飲んでいた記述が登場します。
ハンガリアンウォーターなどがその代表例です。
実はこの時代に飲まれていたのは、精油ではなく芳香蒸留水(ハーブウォーター、フラワーウォーター)でした。
精油を得るためには強い水蒸気が必要ですが、「昔の機械は蒸気が弱く、精油はほとんど採れなかった」と考えられます。
また、精油と芳香蒸留水をきちんと区別するようになったのは19世紀後半。
昔は「精油も芳香蒸留水も同じもの」と考えられていたようです。
水蒸気蒸留法とは
蒸留器の中に植物の花や葉などを入れ、下から熱した蒸気を入れます。
熱い蒸気が当たると油胞(精油が溜まっている袋)が破裂して、精油成分が蒸気が揮発します。この時、蒸気が弱いと破裂する気泡が少ないので、精油は少ししか得ることができません。
気化した成分を冷やすと液体に戻り、精油と芳香蒸留水を得ることができます。
精油は水より比重が軽いため、上部に集まります。
芳香蒸留水には少量の精油成分と親水性の物質が溶け込んでいます。
飲めるのは芳香蒸留水

水蒸気蒸留法で得られる精油と芳香蒸留水。
最近のアロマテラピーでは精油が主役ですが、昔は芳香蒸留水が主役でした。
理由は、精油がほとんど得られなかったこと、精油との区別が明確でなかったことなどが挙げられます。
ところが最近、芳香蒸留水が注目されはじめています。
精油には禁忌が沢山ありますが、芳香蒸留水は禁忌がなく、原液のまま肌に使えるし、赤ちゃんやペットにも使えるからです。
飲める精油はありませんが、飲める芳香蒸留水はあります(日本ではあまり流通していないので自己判断で飲むのは危険)。
イランでは、どの家庭にも蒸留窯があり、お手製の芳香蒸留水を料理に使うそうです。
例えば、ネロリの芳香蒸留水は、夜泣きする赤ちゃんに飲ませると、ぐっすり眠ってくれるそうです。寝付けない夜にはストレスで不安定になった感情を優しく穏やかな気持ちにしてくれるそうです。
実は、私も夜寝る前に小さじ1杯の芳香蒸留水(ローレルとペパーミントとタイムのブレンド)を白湯に入れて飲む習慣があります。
ローレルには口内環境を整える働きがあるんですよ。
消費者は名称に惑わされない知識が必要
芳香蒸留水やハーブウォーターとして売られている商品には、香り付けの目的で精油を添加している商品があります。
ラベンダーに多いので、安易に飲むことは絶対にやめてください。
商品に記載されている使用方法をよく読み、守りましょう。
この記事のまとめ
ネットの情報は玉石混在!間違った情報も溢れています。
YouTubeやSNSで検索して、見よう見まねで精油を使っているあなた!
もしかしたら、その使い方、危険かもしれません。
精油を安全に使うためのルールを守る。
これが末永くアロマテラピーを楽しむためのコツです。
この記事でお伝えしたこと
①油(油脂)はグリセリンと脂肪酸でできている
②精油はグリセリンと脂肪酸ではなく、多種多様な芳香分子の集合体でできているので、油ではない
③多種多様なラベンダー精油の芳香分子
④精油を飲むのは危険!昔の人が飲んでいたのは精油ではなく芳香蒸留水